GoogleやSNSだけでなく検索する場所が多様化している

インスタグラムなどのSNS検索やYouTube検索が若い世代を中心に広がった背景には、いくつかの大きな要因があります。

まず第一に、スマホの普及により「情報は文章で読むもの」から「画像や動画で直感的に理解するもの」へと大きく変わったことが挙げられます。インスタグラムやTikTokは、短時間で視覚的に情報を得られるため、特に忙しい日常を送るZ世代にとって相性が良いのです。次に、従来の検索エンジンでは広告や大量の情報に埋もれてしまい、求める答えにたどり着くまで時間がかかるケースも多いのに対し、SNS検索はリアルタイム性と体験談の信頼感が強いというメリットがあります。さらに、YouTubeで商品レビューや体験動画を見ることで「実際に使ってみた人の声」を確認できる点も、購買行動に大きく影響しています。

つまり、SNSや動画が単なる娯楽の場から「検索の場」へと進化したのは、ユーザーが求める「スピード」「リアル」「共感」を満たしてきた結果だと言えるでしょう。

最近注目されているのが、ChatGPTをはじめとした対話型AIを活用した情報収集です。従来の検索エンジンでは、ユーザーが入力したキーワードに対して膨大なリンク一覧が表示され、その中から自分で取捨選択する必要がありました。一方でChatGPTは、質問に対して整理された答えを文章として返してくれるため、効率的に知識を得られるのが特徴です。

例えば「週末に家族で楽しめる埼玉の公園を3つ紹介して」と入力すれば、候補地の特徴やおすすめポイントまでまとめて提示してくれます。また、旅行の計画やレストラン選び、ビジネスに必要な資料のたたき台作成まで、多様なシーンで利用されています。特にZ世代は抵抗感なくAIに質問を投げかけ、自分の生活に取り入れているのが印象的です。こうしたAI検索の普及は、企業にとって「AIにどう理解されるか」という新たな視点を持つことが必要であり、SEOやSNS対策と並行して“AI最適化”の重要性が高まりつつあります。

AI検索が広がるこれからの時代、企業は従来のSEOやSNS対策に加えて「AIに理解される情報発信」を意識する必要があります。

ChatGPTのようなAIは、顧客の興味や行動を分析し、一人ひとりに最適化された情報を提供します。

ですから、その提供情報に「自社の情報」が存在しているかが鍵になり、自社サイト内にサービス特徴をFAQ形式でまとめたり、地域名や用途別に事例を紹介することで、AIに取り上げてもらえるような内容にしておくことが重要となります。このように今後は「検索される」だけでなく「AIに推薦される」ことが競争優位を生む時代に入ります。

そのために、今から企業が取り組むべきは、ユーザーをよく分析した上で、必要とする情報発信の仕組みを整えることなのです。